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2011年1月 今月のつぶやき DVD複製禁止 著作権法改正案に反対

大阪 戎橋

 名作の誉が高い映画に「ニューシネマパラダイス」(1989・イタリア)がある。この映画のどこのシーンが一番気に入っているか?については意見が分かれるだろう。私は、大人になったトトが、試写室で、アルフレードが編集したキスシーンが連続したショートフィルムを見るところが一番好きだ。
 もしも、私にDIY精神があれば、このシーンに感化され、自分の持っている映画などを収録した市販のDVDのキスシーン全てを集めた映像を作り、家庭内で家族や友人と見て楽しむことは可能だ。こんなことも、パーソナルコンピュータの処理能力が上がり、映像編集ソフトの値段が下がったことによって、比較的簡単にできる。また、「ニューシネマパラダイス」のキスシーンに自分のキスをしている映像を紛れ込ませたものを作り、家族や友人を驚かすことも、今のところは可能だ。
 今朝、読んだ新聞記事(注)によると、家庭内で市販のDVDのコピーをすること自体と、DVDの暗号化機能を解除するソフト(リッピングソフト)を違法とする著作権法改正案がこの通常国会に提出され、これらのことが非合法になろうとしているという。

 私は、家庭内のDVDコピー違法化に反対だ。

 権利者の許諾を得ないDVDのコピーがバーゲン価格で売られたり、DVDのリッピングソフトによって取り出された映像が、インターネット上に置かれ、誰もが無料で見られる状態になることで、映像ソフト業界が金銭的打撃を受けていることは良く分かる。しかし、現行法によって適法で行われるDVDの家庭内の私的使用のための複製自体、映像ソフト業界には何の金銭的マイナスも与えない。
 DVDの私的複製とソフトを違法化することで、違法コピーDVDの販売やネットに映像をポストすることの技術レベルを大幅に上げ、ネット上の違法状態を是正することを目的としていることは容易に想像できるが、ほんの一部の違反者のせいで、違法コピーの販売にも、ネット上に違法にDVDの映像をポストすることにも一切関係ない日本中の全ての家庭内でのDVDの私的複製を違法とすることは全くの筋違いであり、やり過ぎだ。

 この改正は、表面上は我が国のソフト振興の政策にもマッチした法案にも見えるが、本当のところは、我が国のクリエーションにとってマイナスだ。映画監督のスピルバーグが、子供のころ、ストップモーションを使いデスクスタンドで作ったショートムービーを見たことがある。誰でも最初は、家庭内で作った映像を家族や友人に見せるものだ。クリエーションの問題なので、あまりに可能性は膨大で何がどうできるということは言えないが、リッピングソフトで、DVDの映像、音声を取り出し、自分で編集したり、自分が撮った映像と組み合わせることができる自由は未来のクリエーターにとって、とても有意義で大切なことだ。子供を、DVDを買って見るだけの消費者から表現者に変えることができる。子供に限らず、運動会でのホームビデオに市販のDVDのシーンを加えてみたら楽しくはないだろうか?
 家庭内のDVDの私的な複製を禁ずる改正案は、これらのこと全てを違法にし、クリエーションの芽を摘むことになる。DVDとの接触時間がこれだけ長いにも関わらず、自分の家の中であっても今後は見ること以外を禁ずる法律は我が国のクリエーションの可能性を大幅にスポイルしてしまうもので、長い目で見れば、我が国のソフト振興のためにはならず反対だ。
平成23(2011)年1月26日

注 朝日新聞 朝刊 東京版 2011(平成23)年1月26日14版 37面 「DVD複製禁止今国会で改正案 著作権法」

外部リンク

総務省 法令データ提供システム 著作権法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html

著作権法改正で「マジコン」「リッピング」規制へ、文化庁が方針 -INTERNET Watch
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110126_422714.html