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寒山落木一 表紙

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正岡子規の俳句を子規直筆の原稿で味わうショートタイムトリップ。

寒山落木五

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明治29年

〔冬〕

初冬 はつふゆ

初冬の家成つて壁いまだつかずこの句をメールに添付

小春 こはる

売り出しの旗や小春の広小路この句をメールに添付

不忍も上野も小春日和哉この句をメールに添付

娘など出るや小春の古著店この句をメールに添付

用水や小春の金魚一つ浮くこの句をメールに添付

窓の影小春の蜻蛉稀に飛ぶこの句をメールに添付

野の茶屋に蜜柑並べし小春哉この句をメールに添付

大寺の椽広うして小春哉この句をメールに添付

一車漬菜買ひけり小春凪この句をメールに添付

小春日や南を追ふて蝿の飛ぶこの句をメールに添付

小春日の馬徃来す王子道この句をメールに添付

小春野や草花痩せて昼の月この句をメールに添付

思ひ出す殊に老いての小春好この句をメールに添付

眺望

日光の山に鳶舞ふ小春哉この句をメールに添付

霜月 しもつき

霜月の空也は骨に生きにけるこの句をメールに添付

冬至 とうじ

物干の影に測りし冬至哉この句をメールに添付

十二月 じゅうにがつ

元碌十五年極月十四日夜の事也この句をメールに添付

閑居

十二月上野の北は静かなりこの句をメールに添付

歳暮 せいぼ

行く年を人鈍にして子を得たりこの句をメールに添付

行く年を母すこやかに我病めりこの句をメールに添付

行く年の我いまだ老いず書を読んこの句をメールに添付

面白い事にもあはず年暮るゝこの句をメールに添付

冬日 ふゆひ

冬の日の短けれども石部迄この句をメールに添付

冬され ふゆされ・ふゆざれ

冬されや狐もくはぬ小豆飯この句をメールに添付

冬されて淋しき顔や琵琶法師この句をメールに添付

寒 かん

此部屋も坊主小し寒の内この句をメールに添付

寒さ さむさ

牢を出て人の顔見る寒さ哉この句をメールに添付

出女のへりて目黒の寒さ哉この句をメールに添付

半焼の家に人住む寒さ哉この句をメールに添付

六十にして洗礼受くる寒さ哉この句をメールに添付

念仏に紛らして居る寒さ哉この句をメールに添付

水涸れて橋行く人の寒さ哉この句をメールに添付

刀売つて土手八町の寒さ哉この句をメールに添付

くらがりに大仏見ゆる寒さ哉この句をメールに添付

をさな子の泣く泣く帰る寒哉この句をメールに添付

古刀人の味知る寒さ哉この句をメールに添付

山城に睨まれて居る寒さ哉この句をメールに添付

江に向いて一膳飯の店寒しこの句をメールに添付

川上も川下もばつとして寒しこの句をメールに添付

故里の入口寒し乱塔場この句をメールに添付

何やらの足跡寒き廚かなこの句をメールに添付

剣に舞へば蝋燭寒き焔哉この句をメールに添付

月近く覗いて寒し山の寺この句をメールに添付

客稀に大丸寒し釜の湯気この句をメールに添付

瀧涸れて日向に寒し不動尊この句をメールに添付

説教は寒いか里の嫁御達この句をメールに添付

音塞き海より上る朝日哉この句をメールに添付

堂寒し羅漢五百の眼の光この句をメールに添付

家寒く有磯の海に向ひけりこの句をメールに添付

狼の糞見て寒し白根越この句をメールに添付

山寒し樵夫一人下りて行くこの句をメールに添付

吉原

寒さうに皆きぬきぬの顔許りこの句をメールに添付

漱石の松山へ行くを送る

寒けれど富士見る旅は羨ましこの句をメールに添付

荊軻

再びは帰らぬ道の寒さかなこの句をメールに添付

妖怪体

寒燈明滅小僧すよすよと眠りけりこの句をメールに添付

わが郷里松山に子売う売ろといふ幼子の遊びあり

鼻垂れの子が売れ残る寒哉この句をメールに添付

病中

寒さうに夜伽の人の假寝哉この句をメールに添付

開花樓に琵琶を聴く 二句

蝋燭の泪を流す寒さ哉この句をメールに添付

素人の平家を語る寒哉この句をメールに添付

凍 いて

蒟蒻も舌も此夜を凍りけりこの句をメールに添付

靴凍てゝ墨塗るべくもあらぬ哉この句をメールに添付

冷飯のこほりたるに茶をかけるべくこの句をメールに添付

妖怪体の内

鐘氷る夜床下にうなる金の精この句をメールに添付

冴 さえ

星冴えて篝火白き砦哉この句をメールに添付

鐘冴ゆる故かゝげても灯の消んとすこの句をメールに添付

平家を聴く

琵琶冴えて星落来る台哉この句をメールに添付

冬雑 

家二軒杉二本冬の鴉飛ぶこの句をメールに添付

戸を閉ぢた家の多さよ冬の村この句をメールに添付

冬を誰いさゝむら竹茶の煙この句をメールに添付

煎餅干す日影短し冬の町この句をメールに添付

礎を起せば蟻の冬ごもりこの句をメールに添付

睾丸の垢取る冬の日向哉この句をメールに添付

易を読む冬の日さしや牢の中この句をメールに添付

紅緑の仙台に帰るを送る

冬に入りて柿猶渋し此心この句をメールに添付

久松伯宴を紅葉舘に賜はる 二句

母人へ冬の筍もて帰るこの句をメールに添付

君か代は冬の筍親五十この句をメールに添付

雪腸に贈る

はらわたの冬枯れてたゞ発句哉この句をメールに添付

冬住居 

日にうとき樫の木原や冬住居この句をメールに添付

冬搆 ふゆがまえ

内庭に割木つみたり冬搆この句をメールに添付

冬籠 ふゆごもり

冬籠仏壇の花枯れにけりこの句をメールに添付

冬籠長生キせんと思ひけりこの句をメールに添付

冬籠隣の夫婦いさかひすこの句をメールに添付

冬籠茶釜の光る茶間哉この句をメールに添付

冬籠湯に入る我の垢を見よこの句をメールに添付

椽側へ出て汽車見るや冬籠この句をメールに添付

老僧の爪の長さよ冬籠この句をメールに添付

痰はきに痰のたまるや冬籠この句をメールに添付

大木の中に草家の冬籠この句をメールに添付

十年の耳ご掻きけり冬籠この句をメールに添付

袴著てゆかしや人の冬籠この句をメールに添付

ひつそりと冬籠るなり一軒家この句をメールに添付

湯治場や冬籠りたる人の声この句をメールに添付

何となく冬籠り居れば三味の声この句をメールに添付

草庵 二句

冬籠壁に歌あり発句ありこの句をメールに添付

冬籠あるじ寝ながら人に逢ふこの句をメールに添付

病中

看病の我をとりまく冬籠この句をメールに添付

爐開 ろびらき

爐開や我に出家の心ありこの句をメールに添付

火燵 こたつ

並べけり火爐の上の小人形この句をメールに添付

人老いぬ巨燵を本の置處この句をメールに添付

子を抱いて巨燵に凧を揚げる人この句をメールに添付

男の童と女の童と遊ぶ巨燵哉この句をメールに添付

趙飛燕巨燵の上に舞はせばやこの句をメールに添付

火桶 ひおけ

いもあらばいも焼かうもの古火桶この句をメールに添付

埋火 いけび

埋火やほのかにうつる人の顔この句をメールに添付

絶恋

埋火に恨みしそれも昔なりこの句をメールに添付

炭 すみ

炭売にかへてとらする小魚哉この句をメールに添付

やゝもすれば堅炭の火の消えんとすこの句をメールに添付

紙衣 かみこ

紙衣著て河豚くふたる顔もせずこの句をメールに添付

紙衣著て出づれば我に星落るこの句をメールに添付

今出飛白の発明者鍵谷かな子の功徳を彰さんとて伊予郡の人より句を乞はれて

おもしろや紙衣も著ずにすむ世也この句をメールに添付

頭巾 ずきん

紙ぎれに小銭を包む頭巾哉この句をメールに添付

僧正の頭巾かぶりぬ市の月この句をメールに添付

頭巾著て人行かふや山の道この句をメールに添付

頭巾脱いで名のりかけたるかたき哉この句をメールに添付

頭巾著て平家を語る盲哉この句をメールに添付

綿帽子 わたぼうし

爺と婆と江戸見に行くや綿帽子この句をメールに添付

綿衣 わたこ

脛あらはに薩摩飛白の綿子哉この句をメールに添付

綿衣黄也村医者と見えて供一人この句をメールに添付

蒲団 ふとん

夢さめて木曽の宿屋よ薄蒲団この句をメールに添付

寄宿舎の窓にきたなき蒲団哉この句をメールに添付

薄蒲団十三銭の旅籠哉この句をメールに添付

縮緬の紫さめし衾かなこの句をメールに添付

奮戦して右の足を失ひたる肋骨に寄す

わびしさや蒲団にのばす足のたけこの句をメールに添付

病中

詩腸枯れて病骨を護す蒲団哉この句をメールに添付

湯婆 ゆたんぽ・たんぽ

冷え盡す湯婆に足をちゞめけりこの句をメールに添付

目さむるや湯婆わつかに暖きこの句をメールに添付

ある時は手もとへよせる湯婆哉この句をメールに添付

古湯婆形海鼠に似申すよこの句をメールに添付

古庭や月に湯婆の湯をこぼすこの句をメールに添付

貧乏は妾も置かず湯婆哉この句をメールに添付

病中二句

胃痛やんで足のばしたる湯婆哉この句をメールに添付

碧梧桐のわれをいたはる湯婆哉この句をメールに添付

懐爐 かいろ

ある時は背中へ入れる懐爐哉この句をメールに添付

三十にして我老いし懐爐哉この句をメールに添付

凍 いて

凍る手や栞の総の紅にこの句をメールに添付

皸 あかぎれ

足袋ぬいであかゞり見るや夜半の鐘この句をメールに添付

あかゞりに油ぬりつゝ待つ夜哉この句をメールに添付

霜やけ しもやけ

はした女や霜やけかこつ豆らんぷこの句をメールに添付

足袋 たび

あちら向き古足袋さして居る妻よこの句をメールに添付

逢恋

君来まさんと思ひがけねば汚れ足袋この句をメールに添付

神の留守 かみのるす

野社はもとより神の留守にしてこの句をメールに添付

十夜 じゅうや

野の道や十夜戻りの小提灯この句をメールに添付

芭蕉忌 ばしょうき

芭蕉忌に芭蕉の像もなかりけりこの句をメールに添付

亥子 いのこ

故郷の大根うまき亥子哉この句をメールに添付

冬至 とうじ

仏壇に水仙活けし冬至哉この句をメールに添付

鉢叩 はちたたき

足音や待つ夜も更けて鉢叩この句をメールに添付

横町へ曲りぬ雪の鉢叩この句をメールに添付

臘八 ろうはち

臘八や河豚と海鼠は従弟どしこの句をメールに添付

クリスマス 

八人の子供むつましクリスマスこの句をメールに添付

煤払 すすはらい

煤掃いて樓に上れば川広しこの句をメールに添付

冠の煤掃くこともなかりけりこの句をメールに添付

寝て聞くやあちらこちらの煤払この句をメールに添付

餅搗 もちつき

餅を搗く音やお城の山かつらこの句をメールに添付

掛乞 かけごい

病中

また生きて借銭乞に叱らるゝこの句をメールに添付

松売 

苧殻売の門松売に来りたりこの句をメールに添付

病中

寝て居れば松や松やと売に来るこの句をメールに添付

年忘 としわすれ

年忘橙剥いて酒酌まんこの句をメールに添付

待春 たいしゅん

春待つや椿の莟籠の鳥この句をメールに添付

病中

春を待つまでに我はや老いにけりこの句をメールに添付

蕪引 かぶらひき

女どもの赤き蕪を引いて居るこの句をメールに添付

露石に贈るべき手紙のはしに

此頃は蕪引くらん天王寺この句をメールに添付

力草 ちからぐさ

鶴の羽の抜けて残りぬ力草この句をメールに添付

夜興引 よこひき・よこうひき

夜興引や犬心得て山の道この句をメールに添付

納豆 なっとう

納豆の声や坐禅の腹の中この句をメールに添付

納豆汁しばらく神に黙祷すこの句をメールに添付

納豆汁女殺したこともありこの句をメールに添付

禅僧を悼む

骨は土納豆は石となりけらしこの句をメールに添付

風呂吹 ふろふき

風呂吹の冷えたるに一句題すべくこの句をメールに添付

風呂吹をはさみきるこそ拙けれこの句をメールに添付

風呂吹は熱く麦飯はつめたくこの句をメールに添付

風呂吹は三百年の法会哉この句をメールに添付

風呂吹や小窓を壓す雪曇この句をメールに添付

風呂吹や狂歌読むべき僧の顔この句をメールに添付

風呂吹にすべく大根の大なるこの句をメールに添付

風呂吹に集まる法師誰〃ぞこの句をメールに添付

明月和尚百年忌

風呂吹を喰ひに浮世へ百年目この句をメールに添付

冬月 

不盡の山白くて冬の月夜哉この句をメールに添付

寒月や一本杉の一本この句をメールに添付

しつぽくをくふて出づれば冬の月この句をメールに添付

葬礼の提灯多し冬の月この句をメールに添付

屋根の上に火事見る人や冬の月この句をメールに添付

きぬぎぬや冬の有明寒鴉この句をメールに添付

赤子泣く真宗寺や冬の月この句をメールに添付

冬日 ふゆひ

石門を斜に冬の日影哉この句をメールに添付

鳥飛んで冬の日落る林哉この句をメールに添付

時雨 しぐれ

夕烏一羽おくれてしぐれけりこの句をメールに添付

原中や夕日さしつゝむら時雨この句をメールに添付

吊柿の二筋三筋しぐれけりこの句をメールに添付

老いぼれしくひつき犬をしぐれけりこの句をメールに添付

きぬぎぬを引きとめられてしぐれけりこの句をメールに添付

ともし火の一つ残りて小夜時雨この句をメールに添付

鶏頭を伐るにものうし初時雨この句をメールに添付

禅寺のつくづく古き時雨哉この句をメールに添付

枯枝に鳶と烏の時雨哉この句をメールに添付

烏鳶をかへり見て曰くしぐれんかこの句をメールに添付

しぐるゝや群れて押しあふ桶の鮒この句をメールに添付

しぐるゝや日暮るゝや塔は見せながらこの句をメールに添付

初時雨木もりのかぶす腐りけりこの句をメールに添付

砂川の時雨吸こんで水もなしこの句をメールに添付

掃溜に青菜の屑をしぐれけりこの句をメールに添付

大牛の路に塞がる時雨哉この句をメールに添付

杉の空しぐるゝ駕の見えて行この句をメールに添付

樫の木に時雨鳴くなり谷の坊この句をメールに添付

樫の木に時雨鳴るなり谷の坊この句をメールに添付

入獄者に贈る

世の中はしぐるゝに君も痩せつらんこの句をメールに添付

鴫立庵の図に題す

西行も虎もしぐれておはしけりこの句をメールに添付

初恋

恋ともなしくれそめたる袂哉この句をメールに添付

庭前

しぐれしてねぢけぬ菊の枝もなしこの句をメールに添付

病中二句

しぐるゝや蒟蒻冷えて臍の上この句をメールに添付

小夜時雨上野を虚子の来つゝあらんこの句をメールに添付

琵琶を聴く

そうそうとしぐるゝ音や四つの絲この句をメールに添付

凩 こがらし

凩や禰宜帰り行く森の中この句をメールに添付

凩夜を荒れて虚空火を見る浅間山この句をメールに添付

凩の草吹きわたる広野哉この句をメールに添付

凩やさかさに刎ねる水車この句をメールに添付

凩の中に灯ともす都哉この句をメールに添付

凩や燃えてころがる鉋屑この句をメールに添付

凩や野の宮荒れて犬くゞりこの句をメールに添付

君待つ夜また凩の雨になるこの句をメールに添付

椎の木に凩強し十二月この句をメールに添付

題釈迦弾三絃図

凩や観ずれば皆法の声この句をメールに添付

平家を聴く

四絃迫れば凩さつと燭を吹くこの句をメールに添付

愚庵和尚に寄す

凩の浄林の釜恙なきやこの句をメールに添付

浅妻舟の踊を見て

うすものに吹く凩の風もなしこの句をメールに添付

霜 しも

誰が家ぞ霜に折れたる萩芒この句をメールに添付

赤き実の一つこぼれぬ霜の庭この句をメールに添付

鴉鳴く四十九日や塚の霜この句をメールに添付

遼東の霜にちびたるひづめ哉この句をメールに添付

夜嵐や吹き静まつて蔦の霜この句をメールに添付

淋しげに霜の鳥居の立ち盡すこの句をメールに添付

石蕗の葉の霜に尿する小僧哉この句をメールに添付

凱旋

兜脱げ酒ふるまはん鬢の霜この句をメールに添付

死恋

恋ひ死なばせめては塚の霜に訪へこの句をメールに添付

平家

琵琶悲し一夜に寒き鬢の霜この句をメールに添付

上野

灯氷る杉の木立や路の霜この句をメールに添付

霰 あられ

時々に霰となつて風強しこの句をメールに添付

はらはらと音して月の霰哉この句をメールに添付

霰笠を打つてすくばる小順礼この句をメールに添付

竹藪に伏勢起る霰かなこの句をメールに添付

竹売の通りかゝりし霰哉この句をメールに添付

音のして霰も見えず藪の中この句をメールに添付

鍋焼の行燈を打つ霰かなこの句をメールに添付

帆柱や大きな月にふる霰この句をメールに添付

音のして藁火に消ゆる霰哉この句をメールに添付

藁灰にまぶれてしまふ霰哉この句をメールに添付

琵琶を聴く

四絃一齊霰たばしる畳哉この句をメールに添付

雪 ゆき

走り来る禿に聞けば夜の雪この句をメールに添付

灯のともる東照宮や杉の雪この句をメールに添付

勘当の子を思ひ出す夜の雪この句をメールに添付

吉原や眼にあまりたる雪の不盡この句をメールに添付

刈り残す薄の株の雪高しこの句をメールに添付

世の中を知らねば人の雪見哉この句をメールに添付

丈低き夷の家や雪の原この句をメールに添付

五六人熊擔ひ来る雪の森この句をメールに添付

一つ家のともし火低し雲の原この句をメールに添付

仲町や禿もまじり雪掻すこの句をメールに添付

古園や桃も李も雪の花この句をメールに添付

声悲し鴉の腹に雪を吹くこの句をメールに添付

町近く来るや吹雪の鹿一つこの句をメールに添付

蓑はあれど笠はあれど雪にわれ病めりこの句をメールに添付

夜明からふれども雪の積まぬげなこの句をメールに添付

杉垣の上から雪の上野哉この句をメールに添付

鴛鴦の羽に薄雪つもる静さよこの句をメールに添付

ちらちらと初雪ふりぬ波の上この句をメールに添付

合羽つゞく雪の夕の石部駅この句をメールに添付

南天に雪吹きつけて雀鳴くこの句をメールに添付

市中や雪ちらちらと昼嵐この句をメールに添付

水涸れて雪つもりたる筧哉この句をメールに添付

ふりやむや雪に灯ともる峰の寺この句をメールに添付

古庭の雪に見出だす葵哉この句をメールに添付

不盡の山雪盛り上げし姿哉この句をメールに添付

水汲むや雪の合羽の女とはこの句をメールに添付

大雪や関所にかゝる五六人この句をメールに添付

大雪の上にほつかり朝日哉この句をメールに添付

風雪を吹きつけて馬逡巡すこの句をメールに添付

夜の雪辻堂に寝て美女を夢むこの句をメールに添付

夜の雪やどこまで小き足の跡この句をメールに添付

雪かいかい王城の松美なる哉この句をメールに添付

雪の夜や隅田の渡し舟はあれどこの句をメールに添付

病中雪四句

雪ながら竹垂れかゝる手水鉢この句をメールに添付

雪ふるよ障子の穴を見てあればこの句をメールに添付

いくたびも雪の深さを尋ねけりこの句をメールに添付

雪の家に寝て居ると思ふ許りにてこの句をメールに添付

障子明けよ上野の雪を一目見んこの句をメールに添付

雪女旅人雪に埋れけりこの句をメールに添付

霙 みぞれ

棕櫚の葉のばさりばさりとみぞれけりこの句をメールに添付

枯野 かれの

枯野原団子の茶屋もなかりけりこの句をメールに添付

烏飛び牛去りて枯野たそかるゝこの句をメールに添付

四方八方枯野を人の通りけるこの句をメールに添付

更くる夜の枯野に低し箒星この句をメールに添付

草鞋薄し枯野の小道茨を踏むこの句をメールに添付

三日月や枯野を帰る人と犬この句をメールに添付

赤いこと冬野の西の富士の山この句をメールに添付

何もなし墓原ばかり枯野原この句をメールに添付

葬礼の旗ひるがへる枯野哉この句をメールに添付

めいめいに松明を持つ枯野哉この句をメールに添付

低き木に月上りたる枯埜哉この句をメールに添付

馬消えて鳶舞上る枯野哉この句をメールに添付

馬に乗つて北門出れば枯野哉この句をメールに添付

足もとに青草見ゆる枯野哉この句をメールに添付

汽車道に鳩の下り居る枯野哉この句をメールに添付

提灯の一つ家に入る枯野哉この句をメールに添付

提灯の星にまじりて枯野哉この句をメールに添付

一つ家に鉦打ち鳴らす枯野哉この句をメールに添付

わらんべの犬抱いて行く枯野哉この句をメールに添付

鉦も打たで行くや枯野の小順礼この句をメールに添付

冬田 ふゆた

雁さわぐ冬の田面の月もなしこの句をメールに添付

其はてに海の見えたる冬田哉この句をメールに添付

きぬぎぬの大門出れば冬田哉この句をメールに添付

冬川 ふゆかわ

冬川や魚の群れ居る水たまりこの句をメールに添付

冬川や家鴨四五羽に足らぬ水この句をメールに添付

物やあらん烏集まる冬の川この句をメールに添付

氷 こおり

汐落ちて氷の高き渚哉この句をメールに添付

日かゝやく諏訪の氷の人馬哉この句をメールに添付

上げ汐の氷にのぼる夜明哉この句をメールに添付

森の中に池あり氷厚き哉この句をメールに添付

汐落ちてみを杭高き氷哉この句をメールに添付

沼の隅に枯蘆残る氷哉この句をメールに添付

枯菰の折れも盡さで氷哉この句をメールに添付

水鳥の浮木に並ぶ氷哉この句をメールに添付

歌の濱も上野の嶋も氷りけりこの句をメールに添付

山陰に日のさゝぬ池の氷哉この句をメールに添付

裏不二の小さく見ゆる氷哉この句をメールに添付

氷伐る人かしがまし朝嵐この句をメールに添付

氷る田や八郎稲荷本願寺この句をメールに添付

忍恋

漏らさじと恋のしがらみ氷るらんこの句をメールに添付

冬山 ふゆやま

冬山の底に温泉の烟哉この句をメールに添付

狼に逢はで越えけり冬の山この句をメールに添付

鷹 たか

野路の人鷹はなしたるけしき哉この句をメールに添付

それ鷹の斜めに下りる枯野哉この句をメールに添付

鷹狩や鶴の毛を吹く麦畑この句をメールに添付

鷹鶴を押へて落ぬ麦畑この句をメールに添付

暖鳥 ぬくめどり

思ひわびてはなす夜もあり煖鳥この句をメールに添付

梟 ふくろう

梟の眼に冬の日午なりこの句をメールに添付

千鳥 ちどり

川千鳥家も渡しもなかりけりこの句をメールに添付

満汐や清盛の塚に千鳥鳴くこの句をメールに添付

満汐や千鳥鳴くなる橋の下この句をメールに添付

路ばたに饂飩くふ人や川千鳥この句をメールに添付

背戸へ来て崩れてしまふ千鳥哉この句をメールに添付

雪洞に千鳥聞く須磨の内裏哉この句をメールに添付

待恋

艪の昔や我背戸来べく千鳥鳴くこの句をメールに添付

水鳥 みずとり

水鳥や菜屑につれて二間程この句をメールに添付

鴨 かも

鴨一羽飛んで野川の暮にけりこの句をメールに添付

鴨啼いてともし火消すや長た亭この句をメールに添付

夜を鳴いて昼を寝て居る小鴨哉この句をメールに添付

鴛鴦 おしどり・おし

釣殿の下へはいりぬ鴛二つこの句をメールに添付

人間のやもめを思へ鴛二つこの句をメールに添付

鴛鴛の向ひあふたり並んだりこの句をメールに添付

鷦鷯 みそさざい

味噌桶のうしろからどこへ鷦鷯この句をメールに添付

草菴

菜屑など散らかしておけば鷦鷯この句をメールに添付

さゝ鳴 ささなき

さゝ鳴くや鳴かずや竹の根岸人この句をメールに添付

鯨 くじら

大きさも知らず鯨の二三寸この句をメールに添付

声かけて鯨に向ふ小舟哉この句をメールに添付

乾鮭 からざけ・からさけ

里町や乾鮭の上に木葉散るこの句をメールに添付

草庵の富貴は越の乾鮭南部の山鳥を憎られて

乾鮭と山鳥とつるす廚哉この句をメールに添付

鰤 ぶり

灯ともして鰤洗ふ人や星月夜この句をメールに添付

河豚 ふぐ

鰒生きて腹の中にてあれる哉この句をメールに添付

河豚くふて死ともないか誠かなこの句をメールに添付

河豚くふて其夜死んだる夢苦しこの句をメールに添付

鰒で死んで蓮の台に生ればやこの句をメールに添付

海鼠 なまこ

海鼠喰ひ海鼠のやうな人ならしこの句をメールに添付

晴れもせず雪にもならず海鼠哉この句をメールに添付

無為にして海鼠一萬八千歳この句をメールに添付

氷魚 ひお

氷魚もよらず風の田上月の宇治この句をメールに添付

氷魚痩せて月の雫と解けぬべしこの句をメールに添付

冬動物雑 

日蓮宗四個格言

念仏は海鼠真言は鰒にこそこの句をメールに添付

帰花 かえりばな

木老いて帰り花さへ咲かざりきこの句をメールに添付

我死せりと夢みたるよしある人より申おこせしに

腐り盡す老木と見れば返り花この句をメールに添付

茶花 ちゃばな

野はづれに茶の花は誰が別荘ぞこの句をメールに添付

藪陰に茶の花咲きぬ寺の道この句をメールに添付

茶の花に鰈乾したり門徒寺この句をメールに添付

茶の花に梅の枯木を愛す哉この句をメールに添付

茶の花や藁屋の烟朝の月この句をメールに添付

茶の花の中行く旅や左富士この句をメールに添付

茶の花の中にまじりて茶実哉この句をメールに添付

茶の花や詩僧を会す万福寺この句をメールに添付

茶の花や花を以てすれば梅の兄この句をメールに添付

病あり

茶の花の二十日あまりを我病めりこの句をメールに添付

山茶花 さざんか

植木屋の山茶花早く咲にけりこの句をメールに添付

山茶花や病みて琴ひく思ひ者この句をメールに添付

山茶花のこぼれかゝるやかなめ垣この句をメールに添付

枇杷花 びわのはな

咲いて散りし北の家陰の枇杷の花この句をメールに添付

紅葉散 もみじちる

錦楓崕 愚庵十二勝の内

紅葉散りて夕日少し苔の道この句をメールに添付

落葉 おちば

森淋し小娘一人落葉掻くこの句をメールに添付

風の音日の入る森の落葉哉この句をメールに添付

ひらひらと吾に落たる木葉哉この句をメールに添付

地車や石を積み行く落葉道この句をメールに添付

久しぶりに妹がり行けば落葉哉この句をメールに添付

妹が垣根古下駄朽ちて落葉哉この句をメールに添付

落葉して塔より低き銀杏哉この句をメールに添付

落葉して老木怒る姿ありこの句をメールに添付

落葉してやどり木青き梢哉この句をメールに添付

道端や落葉ちらばる古著店この句をメールに添付

紙燭して落葉の中を通りけりこの句をメールに添付

更くる夜を落葉音せずなりにけりこの句をメールに添付

病中

木の葉をりをり病の窓をうつて去るこの句をメールに添付

ある夜の夢に豊太閤を祭りたりといふ御社に詣でゝ左の一句を口ずさみたりと見てさめたいり

境内は賑やかなれど落葉哉この句をメールに添付

枯葉 かれは

枯葉鳴るくぬ木林の月夜哉この句をメールに添付

冬木 ふゆき

二三本冬木とりまく泉哉この句をメールに添付

片側は冬木になりぬ町はつれこの句をメールに添付

田の畝のあちらこちらに冬木哉この句をメールに添付

痩村に行列とまる冬木かなこの句をメールに添付

古道に馬も通らぬ冬木哉この句をメールに添付

ぼくぼくと冬の木並ぶ社哉この句をメールに添付

冬木立 ふゆこだち

めらめらと焼ける伽藍や冬木立この句をメールに添付

三芳野に桜少し冬木立この句をメールに添付

家二軒畑つくりけり冬木立この句をメールに添付

いくさやんで人無き村や冬木立この句をメールに添付

冬木立のうしろに赤き入日哉この句をメールに添付

何もなし只冬木立古社この句をメールに添付

妖怪体十二句の内

冬木立骸骨月に吟じ行くこの句をメールに添付

隅田川端艇競漕

冬木立御座を設けて川に臨むこの句をメールに添付

ある人に俳句教へよと所望せられて

古道の栞も朽ちぬ冬木立この句をメールに添付

枯榎 かれえのき

小幟や狸を祭る枯榎この句をメールに添付

枯柳 かれやなぎ

枯柳八卦を画く行燈ありこの句をメールに添付

水仙 すいせん

水仙や土塀に見こす雪の山この句をメールに添付

水仙の花咲くことを忘れたりこの句をメールに添付

水仙と炭取と並ぶ夜市哉この句をメールに添付

水仙の莟に星の露を孕むこの句をメールに添付

水仙の露に眼の塵を洗はんかこの句をメールに添付

禿倉暗く水仙咲きぬ藪の中この句をメールに添付

月落ちたり水仙白き庭の隅この句をメールに添付

有明の水仙剪るや庭の霜この句をメールに添付

新築

何も彼も水仙の水も新しきこの句をメールに添付

冬枯 ふゆがれ

冬枯れて鳥居一つや土手の上この句をメールに添付

冬枯や神住むべくもなき小宮この句をメールに添付

冬枯や粲爛として阿房宮この句をメールに添付

冬枯れて馬鹿も利口もなかりけりこの句をメールに添付

冬枯や百穴見ゆる雑木山この句をメールに添付

冬枯や提灯走る一の谷この句をメールに添付

冬枯や草鞋くはへて飛ぶ鴉この句をメールに添付

冬枯や小笹の中の藪柑子この句をメールに添付

冬枯や庚申堂の小豆飯この句をメールに添付

冬枯や八百屋の店の赤冬瓜この句をメールに添付

冬枯や塵のやうなる虫が飛ぶこの句をメールに添付

冬枯の地蔵の辻に追剥すこの句をメールに添付

草枯や土鍋を洗ふ化粧井この句をメールに添付

明寺の霜枯に鳴く鼬哉この句をメールに添付

裾山や根笹まじりに冬枯るゝこの句をメールに添付

草枯や一もと残る何の花この句をメールに添付

江湖文学発刊

冬枯るゝ筆の穂とこそさては花この句をメールに添付

日本新聞社忘年会

松生けて冬枯時の酒宴哉この句をメールに添付

古松塢愚庵十二勝の内

冬枯や曰く庭前の松樹子この句をメールに添付

枯蘆 かれあし

蘆枯れて烏ものくふ中洲哉この句をメールに添付

枯芒 かれすすき

風も動かず芒を見れば枯れにけりこの句をメールに添付

此道や只枯芒馬の糞この句をメールに添付

枯薄人呼ぶ茶屋の婆もなしこの句をメールに添付

枯薄胡人五十騎ばかり行くこの句をメールに添付

誰が夢の骸骨こゝに枯芒この句をメールに添付

七湯の烟淋しや枯芒この句をメールに添付

居風呂を焚くや古下駄枯芒この句をメールに添付

病やゝおこたりて

枯芒障子開くれば吾を招くこの句をメールに添付

爛柯石 愚庵十二勝の一

野狐死して尾花枯れたり石一つこの句をメールに添付

吼かい

とかくして枯れた芒に油断すなこの句をメールに添付

死恋

枯芒思ひ死ニの墓と記すべしこの句をメールに添付

枯蓮 かれはす

蓮十里盡く枯れてしまひけりこの句をメールに添付

枯芭蕉 かればしょう

此頃は音なくなりぬ枯芭蕉この句をメールに添付

枯藤 かれふじ

亀戸

藤枯れて昼の日弱る石の牛この句をメールに添付

枯蔦 かれつた

絶恋

蔦枯れて恋のかけ橋中絶えぬこの句をメールに添付

枯菊 かれぎく

枯菊に笊干す背戸の日南哉この句をメールに添付

菊枯れて上野の山は静かなりこの句をメールに添付

菊枯れて松の緑の寒げなりこの句をメールに添付

背戸の菊枯れて道灌山近しこの句をメールに添付

鶏や枯菊の花ふりちぎるこの句をメールに添付

大方の菊枯れ盡きて黄菊哉この句をメールに添付

植木屋に売残りの菊皆枯るゝこの句をメールに添付

西うくる背戸に夕日の菊枯るゝこの句をメールに添付

百菊の同じ色にぞ枯れにけるこの句をメールに添付

菊枯れて胴骨痛む主人哉この句をメールに添付

枯葎 かれむぐら

ものゝ実の蔓もゆかしや枯葎この句をメールに添付

冬菜 ふゆな

村近く冬菜植ゑたる畠哉この句をメールに添付

干菜 ほしな

したゝかに干菜つりたり一軒家この句をメールに添付

冬植物雑 

古庭の菊も芒も枯れにけりこの句をメールに添付

庭前

萩も菊も芒も枯れて松三本この句をメールに添付

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