初冬の家成つて壁いまだつかず
売り出しの旗や小春の広小路
不忍も上野も小春日和哉
娘など出るや小春の古著店
用水や小春の金魚一つ浮く
窓の影小春の蜻蛉稀に飛ぶ
野の茶屋に蜜柑並べし小春哉
大寺の椽広うして小春哉
一車漬菜買ひけり小春凪
小春日や南を追ふて蝿の飛ぶ
小春日の馬徃来す王子道
小春野や草花痩せて昼の月
悼
思ひ出す殊に老いての小春好
眺望
日光の山に鳶舞ふ小春哉
霜月の空也は骨に生きにける
物干の影に測りし冬至哉
元碌十五年極月十四日夜の事也
閑居
十二月上野の北は静かなり
行く年を人鈍にして子を得たり
行く年を母すこやかに我病めり