寒き夜の銭湯遠き場末哉
浅井氏の洋行を送る
先生のお留守寒しや上根岸
香墨台湾へ行に二句
袷著て花さく冬を羨みぬ
冬の季にやゝ暑してふ題あらん
凍筆をホヤにかざして焦しけり
筆ちびてかすれし冬の日記哉
顔包む襟巻解けて寒さ哉
泥舟の二つ並んで川寒し
頬腫の鏡にうつる寒さ哉
蕪村遺稿刻成
冬の部に河豚の句多き句集哉
髯のある雑兵ともや冬の陣
冬人事
鼠取の薬買ひけり冬籠
人を噛む鼠出でけり夜半の冬
人を噛む鼠出でけり薄蒲団
鼠追ふて餅盗みくる火鉢哉
寒垢離や両国渡る鈴の音
寒垢離の我影はしる月夜かな
やき芋の皮をふるひし毛布哉
毛布著て机の下の鼾哉
蕪村忌に蕪村の軸もなかりけり