霜夜
不忍の鴨寝静まる霜夜かな
小春〔二句〕
毛布著て毛布買ひ居る小春かな
色さめし造り花売る小春かな
袴著
袴著や八幡宮の氏子だち
埋火〔三句〕
埋火や青墓道の一軒家
埋火や火を警むる秣小屋
埋火や掻きさがしたる後の夢
煖爐タクヤ雪紛々トシテガラス窓
鮟鱇〔十句〕
老妻の火を吹く顔や鮟鱇鍋
小鍋立借問す河豚か鮟鱇か
君を呼ぶ内證話や鮟鱇汁
鮟鱇ありと答へて鍋の仕度かな
鮟鱇の口あけて居る霰かな
売れ残る鮟鱇買へと勧めけり
寒き夜や家に帰れば鮟鱇汁
鮟鱇鍋女房に酒をすゝめけり
傾城を買ひに往く夜鮟鱇鍋
風邪引の夜著打ちかぶり鮟鱇汁
病床口吟室外〔六句〕
蕾つく梅の苗木や霜柱
朝霜に青き物なき小庭哉