燕の雀にまじる卯月かな
ごうごうと皐月の海の鳴り渡る
晴れんとす皐月の端山塔一つ
海嘯三陸の民を害す
皐月寒し生き残りたるも涙にて
紅緑に別る
吾病んで猶別れうき皐月かな
梅雨晴れて水無月の風窓に吹く
水無月の蟻おびたゞし石の陰
七月や漁村をありく貴女紳士
短夜や何煮えあがる鍋の中
短夜やともし火うつる銀屏風
短夜やうすものかゝる銀屏風
短夜や焼場の灰のあたゝまり
短夜や空のなかばの天の川
短夜や上野の山は明けて居る
短夜や鴉の声は明けてから
短夜や一番汽車に乗りおくれ
短夜や幽霊消えて鶏の声
短夜や四十にして学に志す
短夜やわりなくなじむ小傾城
短夜の上に日のさす不二の山