すゝしさの皆打扮や袴能
此日寒暑不定 折柄淡雪といふ菓子をもらひて即事
湯婆踏で淡雪かむや今土用
陸前石巻より大鯛三枚氷につめて贈りこしけれは〔二句〕
三尺の鯛生きてあり夏氷
三尺の鯛や蝿飛ふ台所
〔上根岸三島神社祭礼 八句〕
この祭いつも卯の花くだしにて
鴬も老て根岸の祭かな
修復成る神杉若葉藤の花
引き出だす幣に牡丹の飾り花車
筍に木の芽をあえて祝ひかな
歯が抜けて筍堅く烏賊こはし
不消化な料理を夏の祭りかな
氏祭これより根岸蚊の多き
腸の塵を洗はん沖鱠
腸の埃を洗はん沖鱠
沖鱠都の鯛のくさり時
此頃の暑さにも堪へ兼て風を起す機械を欲しと言へば、碧梧桐の自ら作りて我が寝床の上に吊り呉れたる、假に之を名づけて風板といふ。夏の季にもやなるべき。
〔『病床六尺』前文〕
風板引け鉢植の花散る程に
〔夜店十句〕
浴衣著テ田舎ノ夜店見ニ行キヌ
夜店ナル安夏帽ヤ買ヒガテヌ
坂本ハ夏菊少シ夜店カナ
氷屋ノ夜店出シタル始メカナ