春の夜や見知顔する小傾城
病牀の匂袋や浅き春
悼幼児
春浅く乳も涙も氷りけり
名も知らぬ春の小鳥や腹青き
のどかさやつゝいて見たる蟹の穴
桜散り芝居鎖して暮の春
月人追悼ノ句麥人ヨリノ求メニ
月人ハ逝イテ麥人春寒シ
鶴病みて梅散る頃や冴返る
西洋の花を植けり春の園
味噌和を用ゐる春の料理哉
のどかさに餅くふ三井の茶店哉
昔知る水夫に逢ひぬ春の町
銭なくて恋する春の旅籠哉
海苔鹿朶に海苔の少き餘寒哉
草庵〔四句〕
春寒き寒暖計や水仙花
鳥籠に木を植ゑて見ん春の庭
一畝は菜をつくりけり春の園
病牀の浄瑠璃本や春の宵
行く春の山吹散つて蝶白し
韓王の行列来る春日哉